この記事は「めぐろLT Advent Calendar 2024」ー 12日目の記事です。
こんにちは!RAKSULで技術広報を担当している和田です。
エンジニアが持つ知見や技術的な挑戦を社内外に届けるため、発信のサポートや、その価値を最大化する仕組みづくり、環境整備に取り組んでいます。
その一環で始めた「めぐろLT」は、この12月で2周年を迎えました!(パチパチ)
connpassの登録者数もこの1年で倍増し、今では活発な知見交流の場として定着しています。特に嬉しいのは、社内メンバーのアウトプットが年々増加していることです。
一方で、イベントや発表を運営・サポートしていく中で、「その場限りの共有で終わってしまうことが多い」という課題も感じるようになりました。せっかく素晴らしい知見や経験が発表されても、それが一部の参加者にしか届かず、より多くの人に広められる機会を逃してしまうのは非常にもったいないことだと考えています。また、発表内容が記録として後々参照できる形(ブログ記事や資料など)で整備されていないと、価値ある情報が埋もれてしまい、次の挑戦や成果に活かしづらくなってしまいます。
そこで、今年から新たな取り組みとして、エンジニアが発信した知見を形に残し、検索可能な資産にする活動を始めました。これにより、発信内容を広く届けるだけでなく、エンジニア自身の経験や挑戦を記録として積み重ね、それがエンジニアコミュニティ全体の成長や新たな価値創出につながる仕組みを目指しています。
今回は、この取り組みの中でも特に力を入れている「執筆支援」についてお話ししたいと思います!
執筆支援とは?
「執筆支援」は、エンジニアがLTやカンファレンスなどで発表した貴重な知見を、誰もが検索・参照できる資産として残す取り組みです。この活動を通じて、発表内容がその場限りで終わることを防ぎ、エンジニアの経験や挑戦を広く共有することを目指します。
背景と目的
長期的な価値の創出
知見を広く共有できる形で資産化することで、発表が一時的なものに留まらず、時間を超えて持続的に活用できる価値を生み出す。
アウトプット文化の醸成
エンジニアが日常的に知見を発信し、それを記録として積み重ねる文化を育み、技術的な挑戦を「当たり前」のように共有することを目指す。
執筆支援の流れ
「執筆支援」では、エンジニア一人ひとりの状況を段階的に把握し、それぞれに適したサポートを提供します。今回は、特に「発信したい内容があり、既に何らかの形で共有されたが記録として残していないエンジニア」へのサポートに焦点を当てています。将来的には、あらゆる状況に対応できる支援体制を整える予定です。
1. 状況の把握
最初に、エンジニアが現在抱えている状況を確認し、大きく2つに分類します。
- 発信したい内容がある
- プロジェクトの成果や技術的な挑戦など、すでに発信したいテーマが明確にある状態。
- 発信したい内容がない
- 特にテーマが思いつかない、または何を発信すれば良いのか分からない状態。
2. 発信したい内容がある場合
次に、発信したい内容がある場合、その内容がどの程度アウトプットされているかに応じてさらに分類します。
- 発表済み → 記録として残している
- 発表された内容が既にブログ記事や公開資料としてまとめられ、広く共有され、検索可能な状態。
- 例:LTやカンファレンスで発表した内容がブログ記事としてまとめられている
- この場合、追加の支援は不要です。
- 発表された内容が既にブログ記事や公開資料としてまとめられ、広く共有され、検索可能な状態。
- 発表済み → まだ記録として残していない
- 発表内容が、記録・共有できていない状態。
- 例:LTやカンファレンスで発表した内容がブログ記事や資料として公開されていない。
- この場合、「執筆支援」を行います。
- 発表内容が、記録・共有できていない状態。
執筆支援の具体的な内容
「執筆支援」では、以下のようなサポートを行います。
1. 文字起こしと原稿作成サポート
- 目的:エンジニアがゼロから記事を書く負担を軽減します。
- 詳細:LTやカンファレンスでの発表内容を音声やスライドから文字に起こし、原稿案を作成します。
2.構成案の作成
- 目的:文章の構成を整理し、スムーズに執筆を進められるようにします。
- 詳細:発表内容を基に、文章の流れを整理し、執筆の全体像を作成します。テーマごとのキーポイントを洗い出し、どこから書き始めるか迷わないように構成案を提供します。
3.執筆レビュー
- 目的:記事の明確さや読みやすさを高め、より多くの人に伝わる記事を作成できるようにします。
- 詳細:執筆後に、広報視点からフィードバックを行い、文章の改善を提案します。読者にとって有益で理解しやすい記事に仕上げるためのアドバイスを行います。
4. 発信後の推進サポート
- 目的:記事公開後の反響や効果を最大化します。
- 詳細:記事公開後にSNSでシェアや社内外での告知支援を行い、より広く読まれるようにします。
3. 発信したい内容がない
テーマやアイデアが思いつかないエンジニアには、今後「ネタ発掘」などの支援を強化していく予定です。例えば、プロジェクトの振り返りや日々の技術的な挑戦を掘り下げるワークショップなどの実施を検討しています。
書かない人と、書けない人
「執筆支援」と聞くと、多くの人が記事の執筆量を増やすことをイメージするかもしれません。しかし、実際には「書かない理由」や「書けない理由」を十分に理解しないまま進めると、逆効果になる可能性もあります。
LTやカンファレンスで発表した内容が「残らない状態」で終わる背景には、さまざまな課題が存在します。ここでは主に、「書かない人」と「書けない人」の特徴と課題を整理していきます。
「書かない人」の特徴と課題
「書かない人」は、文章形式での発信にあまり興味・関心がなく、その価値を実感できていないことが多いです。業務中に発信に割くリソースの価値が見いだせず、結果的に行動に移せていません。非文章形式での発信(口頭、プレゼンテーションなど)以外の重要性やそれが自分のキャリアにどんな影響を与えるかが見えづらいため、優先度が低くなりがちです。
課題例: ・発信する意義や影響が明確でない ・発信に対するモチベーションが不足している ・業務中に発信に割く価値が見いだせない
「書けない人」の特徴と課題
「書けない人」は、発信したい意欲があるものの、文章化のスキルに自信がなかったり、時間が足りなかったりして、なかなか行動に移せていないことが多いです。アイデアや既にアウトプット済みの内容があるにも関わらず、それをどう構成するか、どこから書き始めるかが分からず、足踏みをしてしまっています。
課題例: ・文章化のスキルが不足している ・何から書き始めれば良いかわからない ・書く時間がない、または他のタスクに優先される ・外部公開に制約があり、発信できない
サポート体制
「書かない人」を支援する取り組みでは、執筆支援で時間的な課題を解決するだけでなく、発信することの楽しさや価値を感じてもらうことを大切にしています。ただ単に「発信は大事」と伝えるだけではモチベーションには繋がりにくいですし、「みんながやっているから」や「仕事の一環だから」という理由だけでは動き出しにくいものです。そのため、発信を自然に奨励する文化を組織全体で育てていくことが重要だと考えています。
具体的には、他の人の経験や成功例を共有したり、組織として発信を奨励する環境を整えたりすることで、「自分もやってみよう」という気持ちが芽生えるきっかけを提供します。また、発信が自己成長やキャリアにどのようにつながるのかを、実感しやすい形で伝える仕組みづくりをしていきます。
さらに、「書けない人」に対しては、執筆そのものを支援するだけでなく、アイデアを整理するためのフレームワークや、執筆を始めるためのガイドラインを用意することも検討しています。これにより、自信を持って発信に取り組める環境を整え、新たな価値を見いだすきっかけを提供したいと考えています。
まだ道半ばではありますが、こうした取り組みをさらに広げ、深めていきながら、発信が自然に根付く文化を組織全体で育てていきたいです。
おわりに
今回ご紹介した「執筆支援」のような活動が、私と同じような役割を担う方々の背中を少しでも押し、コミュニティの中で発信の文化が広がるきっかけになれたら嬉しいです。この記事を読んで「自分も発信してみようかな!」と思うメンバーが増えて、社内でも少しずつ発信の輪が広がっていくことを楽しみにしています。