RAKSUL TechBlog

ラクスルグループのエンジニアが技術トピックを発信するブログです

人に向き合って一緒に変革を実現していく

ラクスル事業本部 CTO 二串です。アドベントカレンダー23日目を担当します。

今日は人の成長というテーマで、ラクスルのエンジニア組織や会社全体のカルチャーなどについて触れつつポエムテイストでつらつら書いてみます。

はじめに

社内のSlackを眺めていると、時々人の成長をまじまじと見るときがありハッとする。数年前まではデバッガ is 何? だった若手のエンジニアが、今ではSQLの有効な実行計画についての気づきをシェアしていたり、新しいライブラリを作ったり、バグをみつけてはオープンソースのプロジェクトへ pull request を送ったり、プレイヤーだった人がマネジメントについての考え方を展開していたり。人の成長というのは本当に面白い。

最近、私の上司から「@nikushi さんは組織や人を見るの得意ですね」と言われた。ちなみにそれに続いて「しかしながら….という側面においては….ですね」という感じで改善のフィードバックをしっかり頂いたばかりなのであるが、今日はこの私がどうやら強みらしい、組織や人ということに関して、人の成長というテーマ感で、私のここ1年くらいのCTOとしての経験を交えて、文章にしてみたのでお付き合いいただきたい。

ラクスルという会社の特徴

ラクスルは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンのもと、デジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変え、世の中に大きなインパクトを与えていく、ということをやっている会社だ。

私はこの「変える」というのはなかなか重量感がある言葉だとおもう。普通のタスクをこなす、普通レベルの努力の延長線上には変革は伴わない。「変える」を実現するには、普通の努力では到達し得ない、ある種のエナジェティック(energetic)な要素が必要になってくる。このエナジー的な領域というのは、人の成長に繋がっていて、私としては人に向き合って一緒に変革を実現していく、ということが楽しい思えるタイプだ。

ちなみに、ラクスルという会社ついては最近リリースされた統合報告書を読んでいただくと、よく知ることが出来るのでぜひ読んでいただきたい。

人の成長は野心的なゴール設定とセットで

人が成長すれば、チームや組織・会社としての成果は伴うのか? というのをある会議でディスカッションしたが、結論としてはノー、逆である。

大きな野心的でストレッチさせられるミッションや、ゴール設定、そして施策があり、それを乗り越えたときに人は大きく成長する、というのがラクスルの人事制度やカルチャーの根底にあるらしい。

マネージャは「メンバを管理すること」ではなく組織に方向性を示し野心的なゴールに向かって組織をリードすることがなにより大切だと考える。もちろん日々の1on1や目標設定、メンタリング、採用活動などやるべき仕事はたくさんあり、これらはマネジメントとしての大事な仕事なのだけど、マネジメントの本質は成果を出すこと、人を介して成果を最大化させることができるか、ということだとおもう。

メンバに対して「成果を出してください。そのための目標を決めてきてください」といった直球ストレートなコミュニケーションするのか? ということなんだけど、メンバが自分で目標を考えることはもちろん大事なのだけど、マネージャはメンバはどうやったら成果を出せるか、なんの成果を出せるのか、どんなテーマがあるのか、ということを真剣に考えなければいけない。その上で、強みを活かしたアサインメント変更を実行したり、心理的安全性を確保してみんながより自主的に主体的にパフォーマンス発揮できるような下地を整えたり、日々の1on1を効果的に行う、といった具合にツールや手法を活用していく。

いろいろ偉そうなことを書いているが、私自身もまだまだ道半ば、さらなる改善につなげていきたい。

組織やチームの方向にアラインさせる

高校生のとき物理の授業が好きだった。なかなか強烈で厳しい先生だったが、ベクトルを習ったときの授業風景をいまも覚えている。一つの力 1 に対して、同じ方向でさらに 1 の力を加えれば 2 になるが、違う方向に加えると力の効果は半減してしまい、さらにそれが逆の方向だったらネガティブなインパクトをもたらす。

一つ前では野心的でストレッチなゴール設定の大事さに触れたが、そもそもそのゴール設定は正しいのか? をマネジメントとしては注意深く見たい。

私自身の反省エピソードになるが、上司から施策を考えて提案してくださいと言われるので、あれこれ考えて、こういう施策があります、こういう施策もありますと提案する。しかし、そういう提案に対しては「その施策、いつかやるべきというのは分かるが、今なのか? それは今の組織のフォーカスにアラインしている(沿っている)のですか?」 と突っ込まれる。

どの会社にも事業の柱になるメインのオブジェクティブがある。いかに人、チーム、そして組織レベルで同じ方向を向いて、それぞれのチームが幹となる大きなオブジェクティブにアラインしたゴール設定をし、インパクトを最大化していけるか重要だとおもう。

量より圧倒的な質、そしてチームファーストという考え方

一人の優秀なソフトウェアエンジニアの生産性はそうではないエンジニアに比べ10倍違う、という有名な言葉があるが真実だ。チャレンジングな状況下で、圧倒的な実力で突破口を開くエンジニアの姿というのは純粋にかっこいい。

そして、ラクスルには Team First (チーム・ファースト) という行動指針がある。

メンバの成果を最大化し強いチームを作る

  • メンバの成果を最大化: オンボーディングや採用や育成を行い、メンバのエンパワメントをより意識し、個の成果を最大化させるような環境やマネジメントを行う
  • 強いチーム: チームメンバが自ら規律を作り遵守。学びを共有し、改善を繰り替えすことで、変化に柔軟に対応でき、大きな価値を生み出し続けられるチーム

強い個がチームを組んで、抜群のチームワークだったら…. 最強である。

例えば、ラクスルではペアプログラミングやモブプログラミングで新任メンバの立ち上がりをサポートする仕組みがチームに根付いていたり、組織のルールで縛るのではなく個々のチームのメンバ間の合意(ワーキングアグリーメント)によりお互いの働き方の自由さと規律の実現、といった具合で実践している。

techblog.raksul.com

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ビジネスで勝つという思考

社内のエンジニアはゲームが好きな人が多いので、ゲーム部的な社内部活の slack channel で盛り上がったり、オフィスでゲーム機もってきて金曜の夜にゲーム大会をするというのもやっていた気がする。最近はコロナで物理開催はしていないみたいだけど。

ゲーム好きで、家事の時短ハックが超絶うまいエンジニアリングマネージャでシニアアーキテクトの有澤さんという人がいる。あるとき slack channel でプロゲーマー梅原大吾の排水の逆転劇の動画は凄いぞ、というのをシェアされてた。ストリート・ファイターⅢの世界大会のファイナルマッチでの最後数十秒での逆転劇である。

私は梅原大吾については不勉強ながらその時は存じ上げなかったのだけど、後で彼の自伝 勝ち続ける意志力 世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」を読む機会がありそのときにその勝負の動画を見たけど、たしかに鳥肌が立つ凄いマッチだとおもう。

本の中で印象に残っているのは「お金のために働いている人はビジネスで勝つために働いている人には勝てない」という言葉だ。多くの人は日々会社から給与をもらい日々の生活がある。私自身もそうでありお金のために働くことも全く否定するつもりはないが、ビジネスで勝つために働くという思考はシンプルながら圧倒的な深さがあり、事業を成功させる上では核心をついた言葉だなとおもったりした。

一つの会社で働く時代は終わった。VUCAの時代とも言われるが、ラクスルで働く多くの人が一生ラクスルで働くというわけではないとおもう。私がマネジメントするメンバと会話する時に言うのは、「人生のうちの数年をラクスルにあずけてもらっているということ、それに対してマネジメントととして成果を出してもらって成長してもらうための伴走者としてありたい」とお伝えしたりしている。

ラクスルは面白い会社だとおもっているので今の所5年続いている。せっかく人生という貴重な時間を提供するからには、私自身も面白い仕事、そしてインパクトある仕事がしたいし、そして一緒に働くみなさんとも一緒にそういう経験をしていきたい。

最後に

というわけで、ラクスルの人や組織を中心にした内容でしたが最後までお読みいただきありがとうございました。

これまでの活動を通して進化してきたこともありますが、一方でまだまだ課題は山積みですし、実のところ組織拡大していくにあたっては私達は未熟です。とくに採用においては、プロジェクトを突破していけるソフトウェアエンジニアの力を必要としていますし、プロダクトの方向性を決めるプロダクトマネージャも募集しています。また、本記事のテーマでもあるビジネスの成果と人の成長を繋げるエンジニアリングマネージャーや VP of Engineering など、様々な職種でメンバを募集しています。

もし、弊社に興味を持っていただけた方がいましたら、ぜひカジュアルな形で構いませんのでお話させていただければ幸いです。