この記事は ノバセル Advent Calendar17日目です。
こんにちは。ノバセルでデータサイエンティストをしている松村です。
本記事では今年1年間の自分の仕事を振り返りつつ、分類としてはエンジニア職にあたる自分がビジネス色の強い業務をやってみた実感について話していければと思います。
データサイエンティストに必要なビジネス力
データサイエンティストなら誰もが一度は見たことがある図と思いますが、データサイエンティストの能力は大きく3つのスキルセットで構成されていると言われています。
ここではタイトルにもある通りビジネス力について見ていきます。上図では「課題背景を理解したうえでビジネス課題を整理し、解決する力」とされています。
ここでの「課題」についても、1プロジェクトの中での短期的な課題もあれば、プロダクトやサービスの根底にある長期的な課題などあると思いますが、ここでは特に区別しないこととします。
ただ、データサイエンスによる課題解決といっても業界や会社におけるデータサイエンス組織の立ち位置などによって論点が変わるなので、まずは私の所属しているデータサイエンス組織について簡単に記載します。
- マーケティング(主に広告)業界の事業会社
- いわゆるベンチャー企業
- 様々な事業がある中で、現在はデータ分析を納品物とするプロダクトに関わることが多い
- データサイエンスチームとしてもプロダクトの売上や利益に紐づく成果が期待されている
つまり、研究機関や調査チームというよりは、販売しているプロダクトやサービスの中身に携わる機会が多い組織といえます。
私が所属するデータサイエンスチームでは上図で言われているような「課題背景を理解したうえでビジネス課題を整理」することは全員が意識して、日常的に会話がされています。
とはいえ、実際にプロダクトの企画や営業をするのはいわゆるビジネス職の方々なので、プロダクトの課題といった長期的な課題に対峙する際は、ビジネス職の方々とのコミュニケーションを密に取る必要があります。
その中で、今年はデータサイエンティストのコア領域をやや越境して、ビジネス色の強い業務に携わる機会をもらえました。
なお、そもそもデータサイエンティスト(ひいてはエンジニア職)にビジネス力が必要、という話はすでに深い考察が多くありますので、本記事ではそこについては触れず、実際にビジネス職寄りの仕事をしてみた実感について話していければと思います。
今年チャレンジしたビジネス側の仕事
今年、自分はあるデータサイエンス起点のプロダクトについてオーナーシップを持つことになり、以下のような仕事にチャレンジしました。
- 営業に同行しながら
- 顧客からくる技術的な質問への返答
- 顧客課題と現状のプロダクトに足りない部分の把握
- データアナリストとの分析プロジェクトで
- アウトプットクオリティ管理
- 分析の中身について統計学的観点からレビュー
- 事業部の予算に対して正しく計上できそうかなど、数値面の管理
- アウトプットクオリティ管理
つまり、業務内容としてはPM、PdMやセールスエンジニアのようなことを広く行いました。
その中で顧客の声を多く聞いたり、プロダクトそのもののあり方(利益の出し方や、社内での立ち位置)を事業部側と深く議論するといった、ビジネス側に近い仕事にチャレンジした1年でした1。
これにより一定の受注率への貢献できたり、チーム内でプロダクトについて議論が深まるといった周りに対しての影響と、個人の成長という2面で良い結果を残せたのかなと思っています。
感じたこと
データサイエンティストにとってのビジネス力
自分はデータサイエンティストのベン図でいうと、どちらかというとデータサイエンスとデータエンジニアリングに強く、ビジネス力にあまり強くはありませんでした。そのため、今回の挑戦を振り返るとコンフォートゾーンを飛び出てラーニングゾーンやストレッチゾーンと言われるところに身を置けたのかなと思っています。
今回ビジネス職に近い仕事にチャレンジした実感をまとめると以下のようになります、
- 顧客に直接向き合う仕事を少しでもしたほうが、データサイエンティストとしての価値は上がる
- 技術営業やプロダクトマネジメントなど、データサイエンスから一見コア技術から離れて見える仕事でも顧客と向き合うことでデータサイエンス視点から新たなコア技術の種を発見できる
- 視野も広がるし総合力も上がる
- 同時にこれを専門でやり続けているビジネス職の方々とのお互いのリスペクトに繋がった
参考記事・URL
- 2023年度スキル定義委員会活動報告
- データ分析部門にビジネス上のレゾンデートルを与えるということ - 渋谷駅前で働くデータサイエンティストのブログ
- セルフマネジメントに欠かせない”5つのゾーン”に対する捉え方|りんちー(林個人note)
- それでも自分は現時点ではエンジニア職であるため、営業職や事業開発職のように予算を持っていたわけではありません。↩