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データサイエンティストとして求められてきた事

こんにちは。ノバセルでデータサイエンティストをしている石井です。
本記事では、「データサイエンティストとして求められてきた事」という側面に対し、抽象度の高い整理を試みています。
構成は以下の通りです。

はじめに

データサイエンティストと一重に言えても、その解釈は多面的です。
同じ業界であっても各組織で異なる定義を持ち得、ある組織内であっても各個人の対する仕事は異なり得ます。

本記事では、「分析対象のドメイン知識」と「定量データ」を駆使して事業成長に貢献する人材を、狭義の “データサイエンティスト” と定義し、以下では単に「分析者」と呼びます。

本論

1.求められてきた事

多くは、一言で「リスク管理」だと考えています。
データに基づいた分析結果に対し、100 %の再現性を持つと言えることはそうないでしょう。それどころか、1 変数の振る舞いの変化が再現性の瓦解に繋がることすら少なくないでしょう。
にも関わらず分析を実施するモチベーションは、「暗中模索や定性的な判断による失敗のリスクを取るより、一定度のコスト*1を使ってでも、効率的であり成功を期待できる施策に繋げる方が、事業成長の期待値を高く見積もれる」ことではないかと解釈しています。
100 %の再現性はなくとも、70 %成功することに納得できる施策が明らかになれば、十分に意味があると。そしてその分析がスピーディーに遂行されるのであれば尚良いと。

以下は、分析が「求められた内容を満たせる(リスク管理できている)」結果であるかを、依頼者に受け入れていただける十分条件について、階層的(下層は上層の構成要素)に整理した物です。




2.取り組みの実例

施策効果の推定

予算配分の最適化

3.「AIの進化」と「分析者の価値」

シナリオ 「AI 2027」 は、2027 年中に AI 研究そのものが AI によって自動化され、何百万もの ASI(人工超知能)が人間の理解を超えたタスクを迅速に実行する可能性を描き、AI の進化過程で “競争を続けるか・意図的に減速するか”という選択を提示しています。

そのような状態に至っても尚、分析者が価値を発揮できるであろう余地として、以下の 3 要素を挙げます。

おわりに

AI の急速な進化に伴う日々の取り組みの変化の様に、本論 3 での見解も近い内には変化しているのだろうと思います。
また、AI の動向を追うことが重要な様に、数理統計、各業界の市況などの理解、それらを活用するための思考の整理や言語化なども重要です。
広く知見をアップデートし続け、有益な手段を選定し、事業成長に資する分析者でありたい想いです。

参考資料

ai-2027.com

*1:社内リソースや、社外クライアント様より頂戴する分析費用