はじめに
この夏「ラクスル 課題解決型インターン」に参加しました、インターン生の澤木です。僕はノバセルのデータサイエンスチームとして参戦したので、この記事ではその感想や、学びをまとめていこうと思います!
読んで欲しい人
- ラクスルに興味がある人
- 志望企業はまだ決まってないが夏インターンを成長機会にしたい人
- DS/ML職でインターンや就職を考えている人
インターンシップ概要
- 参加コース:ラクスル課題解決型インターン
- 配属:ノバセル
- チームの職種:データサイエンス・機械学習チーム
- 参加日程:9/11 - 9/15
- 報酬:10万円
2023夏のラクスルのインターンシップは「ハッカソン型」と「課題解決型」の2種類があり、僕は後者で参加しました。課題解決型インターンは、「ラクスルの開発組織が実際に直面している課題やタスクにアサインされ、エンジニアと共に業務を進める(募集ページより引用)」インターンシップです。
タスクごとにチームが分けられ、フロントエンドチームやサーバーサイドチームがラクスル事業部とノバセル事業部で1チームずつ、そして僕らが属するデータサイエンスチームがノバセル事業部で1チーム、合計5チーム編成でした。各チームは3〜4人( + メンター社員1人)で編成されており、課題解決型インターン全体の参加者は20人弱でした。
応募・選考について
このインターンとの出会いは、サポーターズが主催する逆求人イベントでした。そこで人事の方と面談をするまではラクスルは企業名は知っている程度で、そもそもエンジニア募集やインターンがあることすら知りませんでしたが、事業内容・インターン概要(そして報酬)どれにも魅力を感じオファーを受けることにしました。
選考に進む前に、後のメンターとなるデータサイエンティストの松村さんとの面談も設けていただき、ノバセルにおけるDS職の解像度が高まったことも参加への大きな動機になりました。
選考は技術課題と面接が1度ずつありましたが、専門性や高い技術力を求めているというよりかは、最低限のスキルチェックと、カルチャーフィットを見ているという印象でした。特に技術課題は、コーディングテストとしてはかなり丁寧な作りで、自分で手を動かしてデータの分析やモデリングをしたことのある学生なら十分に解ききれる実用的な良問でした。
データサイエンスチームの開発について
取り組んだ課題
実際にノバセル内部のお仕事にチャレンジさせていただいたため、その多くがNDA的に技術ブログに書くことができません…。ですが、伝えられる限りの情報で5日間の取り組みについて説明できたらと思っています。
それすなわち、僕らデータサイエンスチームの取り組みは、
「テレビCMの分析に必要な情報を画像から半自動でとって来れるようにしよう」
ということでした。ノバセルは広告代理店などからデータを受託し、効率の良いテレビCMの放映プランニングや効果分析を行なっています。そのためには分析できる形式のデータが必要不可欠なわけですが、テレビ業界のDX化はまだまだ道半ばで、綺麗なデジタル形式のデータが手に入らないことも多いようです。現状は手作業でデータ化やダブルチェックを行なっており、その現状を画像処理やデータサイエンス技術を使って脱しようというのが今回のインターンシップで取り組む課題でした。
補足:「ノバセル」について https://novasell.com/
分析・開発スケジュール
5日間(最終日は資料作成や発表のため実質4日間)という限られた時間で、どのように取り組むべきか、チームでまず作戦会議を行いました。しかし作業を進めていく中での軌道修正も多く、結論から言うと、5日間の開発は以下のような形で進みました。
【1日目@オンライン】
- データの基礎分析・手法選定
- 開発の役割分担
【2日目@オンライン】
- 1日目で決めた主法の実装・課題の洗い出し
- Bizの方々とのミーティング①
- 現状の課題の聞き込み
- 機能要件のすり合わせ
【3日目@オフィス】
- それぞれの役割の実装を完了
- 開発の繋ぎこみ
【4日目@オフィス】
- streamlitを使った簡易的なアプリ開発
- Bizの方々とのミーティング②
- ここまでの開発の進捗共有
- デザイナーの方からのFB会
- アプリデザイン、ユーザビリティについてのフィードバック
【5日目@オフィス】
- バグのFix
- 発表資料作り
- 発表会
初めは「機能だけ完成できればそれで良いのでは?」と考えていたチームメンバーでしたが、実際に実装をしてみると、精度100%の完璧なオートメーションは現実的でないことがわかってきました。さらに、ノバセルのBizの方々とお話をして、僕らは大切な視点を欠いていることに気付かされました。
Bizの方々と話した気づき
- データサイエンス技術は”銀の弾丸”にはならない
- 「絶対に精度100%」のモデルは実現できない
- 仮に精度99%なら、その1%の修正ために結局人の手が介入しなくてはならない
- データサイエンスの技術の「オペレーションとの融合」という視点
- 業務フローの効率化を目指して技術を導入する
- 完全な自動化を目的に掲げる必要はない
- 機能や方法論だけでは実用には不十分
- オペレーションに組み込むためには、「使える」ようにしなくてはならない
- 半自動化した部分が誤りを生じうるなら、それを簡単に確認・修正できる必要がある
手元のデータセットで研究や解析をしたり、Kaggleなどのコンペで精度勝負ばかり取り組んでいる学生が見落としがちな視点だと思います。便利な学習モデルやツールが次々現れようと、ビジネス場面ではあくまで「道具としての技術」の1つであり、それを扱うエンジニアは常に業務フローの中でそれをどう組み込んで活かすかを考えなくてはなりません。機能だけではダメだと気づき、開発スケジュールを組み直して、オペレーションに載せられるようなWebアプリの作成まで視野に入れることにしました。
開発の進め方
1~3日目:画像処理・画像認識の実装
データサイエンスや機械学習周りの開発は、基礎分析と手法選定ができれば、比較的役割分担がしやすい領域だと思います。実際に、1日目の時点で大雑把な技術選定の目処が立ったため、与えられたタスクを実現するためのコーディングを大きく3つの工程に分け、三人で分担して取り組みました。それぞれの工程で各人が実験や実装を行い、何か進捗や疑問があればSlack・Github・オフラインで逐次共有を行い、議論しながら進めました。
4日目:Webアプリ実装
滑り出し好調であった開発ですが、途中でアプリまで作り切ろうと決まったことで、その開発を行った4日目はうまく役割分担ができず、急に開発が混乱しました。 実装が容易なstreamlitを使って開発を行いましたが、いかんせん3人とも初めましての技術だったので、全員が手探りで進めました。 この上なく贅沢なことに、ラクスル全体のデザイン統括をしている社員さんからユーザビリティやデザインのフィードバックをいただき、試行錯誤しながらなんとか動くものを完成させることができました。
5日目:スライド作成・発表準備
ほとんどが完成しました。細かなバグのFixを分担しつつ、発表資料を急いで作り、発表練習を行いました。発表時間は3分と非常に短かったため、背景から開発概要・技術詳細まで組み込むことに苦労しました。 結果としてはオーディエンス投票で1位となり、User Awardを取ることができたので、5日間の頑張りが報われてとても嬉しかったです。
開発以外のイベント
5日間のインターンはひたすら開発をしていたわけではなく、オフィスツアーやランチ、懇親会など様々なイベントが用意されていました。どれも楽しかったので、それぞれの学びや気づきをまとめます。
オフィスツアー
初出社日だった3日目の朝にありました。 何より驚いたのはオフィスのおしゃれさです。オフィスといえば整然とデスクが立ち並ぶ無彩色なイメージがありますが、ラクスルのオフィスは日経ニューオフィス賞を受賞しているだけあって、開放感があり、緑が多く、とても気分が晴れるデザインでした。エンジニアの出社は週1以上ですが、このオフィスならむしろ毎日出社したいと思える雰囲気でした。
ランチ・懇親会
3日目の終業後の懇親会や、4日目のランチでは、インターン生だけでなく新卒社員の方や人事の方、他のグループのメンターの方などと広く交流することができました。畏まった場では聞きづらい採用や待遇についての話や、ラクスルの魅力など、お酒を飲みながらたくさん聞くことができたので、ただインターンに参加する以上に、カルチャーやビジョンの解像度が上がりました。僕らのチームメンバーは全員お調子者だったので、失礼なことをたくさん聞いてしまったような気がしますが、それでもNG無しと言わんばかりに答えていただけました。結果として、昔からの友達のように社員さんと仲良くなっているインターン生もいました笑
まとめ
全体として、ラクスルそしてノバセルの雰囲気を知りながら、楽しく課題に取り組める非常に有意義なインターンシップでした。メンターや社員さんのサポートも手厚く、懇親会を通じてNGなしで色々な話を聞くことができたので、自分自身非常に解像度が高まり良かったなと感じています。エンジニアインターン、特にデータサイエンス領域のものは、インターン用に作られた模擬的なタスクが与えられることもしばしばですが、ラクスルの課題解決インターンはインターン生を新入社員同等に扱い社内のリアルなタスクに取り組ませてもらえる点で非常に学びのあるものだったと思います。Tech側だけでなく、Biz側の視点も持ちながら取り組むことのできるリアリティに富んだインターンであるという点で、とても濃い5日間でした。僕らのチームはとにかく仲がよく、それも相まって笑いの絶えない5日間でもありました。改めて、最高のインターンシップをありがとうございました! この記事を読んでラクスルのインターンに少しでも興味を持つ方が増えれば嬉しいです。