RAKSUL TechBlog

RAKSULグループのエンジニアが技術トピックを発信するブログです

おそらくあなたがまだ知らない AI 情報系 YouTube チャンネル 5 選

序文

この記事は ノバセル Advent Calendar 8 日目です。 ノバセルで CTO をしている戸辺です。

ノバセルはいま AI を "使う" ということに力を入れており、AI を使って徹底的に社内外の生産性を改善したいと考えています。もともと私たちの親会社であるラクスルの Vision は "仕組みを変えれば、世界はもっとよくなる" ということで、レガシーな産業に IT 等の仕組みを取り入れることで、世界を良くするということにアプローチしてきました。ノバセルもそこは同じで、特にそれをマーケティング領域で実現していこうという事業体なだけです。

この観点にたつと、before AI の世界における IT は after AI の世界からみるとレガシーであり、AI を取り入れて仕組みを変えて、世界をもっとよくするということは、私たちの Vision そのものに通ずることであり、かついまやるべきことなのです。

単に、私がこの手の領域がとても好きというのがありますが。

自身でも囲碁を、だいたいアマ 2 段くらいの腕でやり、ゲーム AI 開発を嗜んでいた身からすると、AlphaGo の登場は衝撃でした。当時世界で一番強かった人類最強の棋士を相手に、3 戦全勝。このときに、AI は人間の代替や、部分的な生産性改善ではなく、いわゆる "超知性" 足りうることを証明したと感じました。AlphaGo はあくまでも囲碁という閉じた領域ではありましたが、これをアナロジーとし、あらゆる人間の知識労働は、"超知性" として置き換えられるだろうと確信しています。

どちらかというと興味の領域は、それがなるかどうかではなく、いつなるか、です。

そのために欠かさず情報キャッチアップをしている次第です。単に好きなだけですが。大事なことなので 2 回いいました。

※ わかりやすさのために、 before AI とか after AI という言葉を使いましたが、これは ChatGPT がリリースされた 2022 年 11 月 30 日 以前以後のことです。AI とは受け手にとって曖昧な用語だと思いますが文脈からご判断いただけますと幸いです。ちなみに、AlphaGo の文脈で述べた AI は LLM でもないので、技術的には全く別のものということは理解したうえでなお、そのアナロジーは通じると考え、例示してあります。

選考基準

せっかくこの記事を読んでくださった方に新規の情報を届けたいと思いまして、思い切って "あなたがまだ知らない" と題してしまいましたので、まず、チャンネル登録者数を 20 万人未満のものに厳選しました。ちなみに、OpenAI は執筆時点で 132 万人の登録者がいました。とはいえ、見る価値があるクオリティも必要だと思いますので、その観点で登録者数は 1 万人以上という条件もつけました。登録者数が多ければ質が担保されるというわけではないかもしれませんが、一定の相関はあると思いますし、質については一応私が見ての判断も加味されていますので。

続いて、次の基準として、これ自体が Tech Blog ということ、つまり読者はおそらくエンジニアであろうということから、エンジニアに向けて特に有用なものを選びました。

最後に、これは少し特殊かもしれませんが、英語に限定しています。これは私自身が英語学習を兼ねながら見ているということもあるのと、日本語の情報は割と受動的にも入ってきやすいのに対して、英語での情報は能動的に取りに行くほうが早く情報が得られるという側面もあり、英語でピックアップしています。

選考基準まとめ

  • チャンネル登録者数 1 ~ 20 万人
  • エンジニアにとって有用
  • 英語

最後に英語で YouTube を見るときに有用なブラウザ拡張も紹介しておこうと思います。

おそらくあなたがまだ知らない AI 情報系 YouTube チャンネル 5 選

(特におすすめ順というわけではありません)

1. AICodeKing

@AICodeKing: 4.75 万人

概要

まずは AICodeKing から。このチャンネルは主に IDE や Editor などの開発環境に関する話題が多めです。特に人気なのは "Stop Using xxx" シリーズ。みんな "Cursor" 使ってるけど、"VSCode + AIder + Supermaven" 使うほうがいいよーとか、そういうやつ。また、最新の IDE などにもよく触れてくれており、最近だと Google の IDX の紹介もしてくれていました。なんだか眠くなるトーンの声の方なのですが、IDX の紹介の時は結構テンションが高かったように思います。他には、Aider については本人も好きなのか、何回かに分けて説明してくれており、ユースケースの理解に役立つと思われます。WindSurf とか、日本では紹介記事が少なめの Editor もよく取り上げてくれています。

おすすめの一本

www.youtube.com 基本的にチュートリアルが多めなので、気になる Editor や IDE がありましたら、このチャンネルの中で検索してみるというのがよい使い方だと思います。そのためおすすめの一本にはみんなが好きそうな Zed + Aider を使ったものを選びました。こういう自動生成のコードは質が悪いという方もいると思いますし、現時点では私もそう思うことがありますが、基本的にそれはモデルの進化と同時に改善されていくので、開発スタイルとしては AI がサポートする形、もしくは AI がベースを書いて人間がサポートをするという形に近づくはずです。そのため、開発プロセスとしては、AI を利用したプロセスに切り替えていく必要はあると思っており、こういうところでの情報収集は重要だと考えています。

2. IndyDevDan

@indydevdan: 2.96 万人

概要

エンジニア向けだとどうしてもコードアシスタントが多くなってしまいます。この方も AIDER を使ったコードアシスタントの動画をたくさんあげてくださっているので、AIDER 解像度を上げてコードアシストしてもらおうという方には便利です。加えて、このチャンネルではプロンプトエンジニアリングの解像度をあげてくれるコンテンツもあり、プロンプトエンジニアリングの考え方のフレームワークを提示してくれたり、今後それがどれだけ大事になるかなどを具体例を示しながら教えてくれたりします。

おすすめの一本

www.youtube.com おすすめの一本にはそのプロンプトエンジニアリングについての解説動画をあげました。全体的に長めの動画なので時間のある時にご覧ください。エンジニア向けにプロンプトエンジニアリングを解説してくれています。マルチエージェントで単一プロンプトに依存せずに精度を上げる方法などは参考になることと思います。

3. WorldofAI

@intheworldofai: 8.18 万人

概要

最初に紹介した AICodeKing と少しテイストが似ているところはあるのですが、それよりはコードを書くことだけに限定されず、もう少し広く日常の仕事を便利にするための AI 利用について紹介してくれています。

おすすめの一本

www.youtube.com これは最近の動画なのですが、AI をいろいろ試すための環境構築についてまとまっていて非常に良かったです。AI についての調査研究、それから実際に役立つツールなどを開発するとき、いずれにせよ開発環境の構築は必要です。基本的には Docker が用意されているものはそれを使えという話なのですが、具体的に見ながら真似して用意できるという作りになっているのは便利なのではないでしょうか。

4. techfren

@techfren: 0.9 万人

概要

(少し基準に届いてないけど許してください) この方はライブが多めで、ライブ動画を編集してあげてくれています。そのため、実用的なものが多くまた、躓きながら乗り越えていくという生の部分が見られるのがとても有用です。

おすすめの一本

www.youtube.com これは n8n をローカルにセルフセットアップする例です。ひとつうえのおすすめの一本でも n8n をローカルホストする例は見られるのですが、こちらの動画では実際にそれを使った事例までやってくれます。Gmail を受信すると、それをトリガーとして ChatGPT が返信の文面を自動生成して、それを下書きに保存しておいてくれるというものです。n8n はローカルにホストすればタダで使える Zapier という印象が強かったのですが、いまは AI も強力に協調動作します。(ちなみに Zapier もワークフローの途中に AI を入れられるそうです、いまは。ラズパイに常駐させて、いろんなことを AI にやってもらいたくなりますね。

5. Anthropic 公式

Anthropic の公式: 5.72 万人

概要

"あなたがまだ知らない" ってことはさすがにないとは思いますが、選考基準にギリギリ入っているので(ギリギリというのはエンジニア向けという意味で)最後に紹介させていただきます。OpenAI のチャンネル登録者数が 132 万人であることを考えるとずいぶん少ないと思います。出しているモデル、機能は素晴らしいのですが。Computer useMCP などここ数ヶ月は話題に事欠かない Anthropic でしたが、それらをもう少し理解しやすい具体的なユースケースを結構紹介してくれているのがこちらです。

おすすめの一本

www.youtube.com Computer use を使って VSCode を操作してコーディングする動画です。これを見た時に、思ったより近い将来にコードを書く仕事は相当量減るんだろうなと思いました。まだご覧いただいていない方は、どうやってコードを書く量が減っていくのかを、この動画を見て、想像してみてください。

(おまけ) 英語で YouTube を見やすくするブラウザ拡張

NoteGPT これの Chrome 拡張が無料で使えます。これをいれると、YouTube の画面の右側に動画の Transcript が出せます。Summary などを見る場合はログインが必要になりまが、Transcript だけであればログインもアカウントも不要です。また、Transcript さえあれば、コピペで Claude なり ChatGPT なりに渡して、サマリーを得たり、考察の壁打ちなどをするのも自由にできるかと思います。ぜひお試しください。

※ 社内の英語レッスンで先生に教えていただきました